入浴や着替えを嫌がる時の対応方法

ABOUTこの記事をかいた人

社会福祉士、介護支援専門員。認知症対応型通所介護で生活相談員をしており、副業で初任者研修講師をしています。福祉業界に携わり14年になります。地域の人々に正しく認知症を理解してもらう為、地域包括支援センター、高齢者見守りセンターのスタッフと協力して認知症サポーター養成講座の講師の活動も行っています。

家庭での介護において、多くの人が悩んでいるのが入浴。普通の入浴介助だけでも重労働なのに、拒否があると、とても大変です。

 

また、介護施設で働く介護職員も入浴拒否があり、どうやって入浴してもらうか悩んだことがある人も多いと思います。

 

認知症の方が入浴や着替えを嫌がる時にどのように対応すればよいのか、経験談を交えながら伝えていきたと思います。

 

認知症の人は複雑な動作が苦手

 

認知症の方が入浴や着替えを拒否するのは、よく見られる光景です。入浴や着替えを拒否するのは、「ボタンを外してから腕や頭を通して服を脱ぐ」「体を流してから湯船に浸かる」など複雑な動きが求められます。

 

認知機能が低下している人にとっては、こうした動きが普通の人よりずっと面倒に思えて、非常に疲れてしまうのです。

 

こんな対応していませんか?

 

介護者
臭くなっちゃいますよ!

 

介護者
いいから脱ぎましょう!

 

介護者
もう何日も入ってませんよ!

 

このように「汚い」「臭い」などと率直なことを言えば気分を害し、反抗されてしまいます。また、無理に脱がせようとするのは危険です。認知症の人にとって服を剥ぎ取られるのは大きな恐怖になるため、ときにはとっさの暴力になることもあります。本人の気持ちを十分配慮しましょう。

 

入浴や着替えを嫌がる人への対応

 

嫌な原因を取り除く

「裸になるのが恥ずかしい」「入浴の仕方に自信がない」のなら、介護者も一緒に入る。

 

気分を変える

気分転換に銭湯まで足を伸ばしたり、家庭の湯船に温泉の素を入れて気分を変える

 

脱衣所の環境を整備する

少しでも入浴に対する不快感を減らすために、脱衣所が寒すぎたり暑すぎたりしないようにストーブや扇風機などで温度を調節します。特に冬場の寒い時期は、服を脱ぐのが面倒なもの。脱衣や着衣は腰をかけて行いましょう。

 

信頼している人に勧めてもらう

認知症の影響で汚れに対して無頓着になり、入浴の必要性が理解できない場合もあります。そんな時はかかりつけ医など本人が信頼している人に「入浴は健康によい」と勧めてもらうのも一つの方法です。

 

入浴のイメージを良くする

入浴をすると喉が乾くので、本人が好きな飲み物や食べ物を用意してその気にさせるのも効果的です。「入浴したらアイスを食べましょう」「おいしいビールが待ってるよ」と、入浴のイメージが良くなるように心がけましょう。

 

 

この動画は服を脱いでくれない時、ユマニチュードでの対応方法を見ることができます。

 

 

 

悪い例では、お父さんの身体を拭く準備をしている時に目を合わせず、「お父さん身体を洗うわよ」と一声かけ、無理やり服を脱がそうとして怒りだしてしまいました。

 

事前の説明がないままの準備していたので、まだ身体を洗う準備だと理解できていなかったのです。

 

そして、いきなり服を脱がされそうになり、怒り出してしまいました。

 

ユマニチュードでの対応はまず、部屋に入る時にノックを3回、3秒間返事を待ち、これから会いに行くことを伝えています。この工程を「出会いの準備」と呼び、相手のプライベートな領域に入ることの了承を得る為の技術です。

 

前もって何をするか伝え、同意を得ることも重要です。

 

また、介護者の方は、自分が何をしているのか説明しながら、常に視線を認知症の人に向けていました。自分が相手とずっといる事を伝えることの技術です。

 

そして、はじめる直前にもう一度説明します。その時、介護者は左手に優しく触れています。触れることはユマニチュードで用いる相手を大切にしているメッセージを伝える技術です。

 

「見る」「話す」「触れる」をできるかぎり同時に行うことが重要です。

 

 

介護保険サービスを利用するのも一つの手

入浴介助は家族にとって重労働なうえに、家庭の浴室は危険も多く、何となく恐怖心を持つ人もいます。そんな時は訪問入浴サービスを利用するのも一つの手段ですが、外に出られるのであればデイサービスの入浴がおすすめです。決まった曜日に入浴させてもらえるうえに人と交流ができ、家族にも自由な時間が生まれます。

 

経験談

 

デイサービスを利用者さんは、お風呂が楽しみで来る人ばかりではありません。ご家族様が「半年間、お風呂に入っていないので、何とかしてお風呂に入れて欲しい」とわらにもすがる思いで相談されることもあります。

 

入浴拒否がある利用者さんを入れることは、経験を積んだスタッフでも頭を悩ませることが多いと思います。

 

特に入浴を目的で来所している利用者さんは、必ず入浴させなければならないプレッシャーがあり、間違った対応をしてしまったことがあるスタッフもいるかもしれません。

 

私もその一人です。1年目の時、帰宅までの時間までに入浴を終了させなければならず、焦りから、少し強引に服を脱がせて怒り出してしまいました。その嫌な思いがきっかけで、その利用者さんは二度と入浴してくれませんでした。

 

認知症の方は嫌な思いをした事は絶対に忘れない。これは私の経験から確信しています。

 

では、入浴拒否がある利用者さんはどのように対応したら、入浴が好きになってもらえるでしょうか?

 

無理に入浴させようとせず、時間をかけて好きになってもらう

 

私の経験から無理に入浴させようとすると、入浴することに対して恐怖心を抱いてしまい、ますます拒否が激しくなります。

 

まずは脱衣所まで来てもらい、拒否がありましたら「足だけでも温まりませんか?」声をかけてみましょう。意外と足湯だけなら大丈夫な場合が多いです。ダメな場合は手足の一部の清拭からでも良いと思います。

 

数日かけて足湯に慣れてきたら、「よかったら良い湯加減なので、お風呂に入りませんか?」と声をかけてみて下さい。

 

大変ですが、時間がかけて入浴を好きになってもらえば、二度と拒否をすることもありません。「急がば回れ」です。

 

緊急性がある場合

 

まれに入浴拒否があり、半年、1年以上入浴していない利用者さんが来ることがあります。匂いもきつく、すぐにでも入浴してもらう必要があります。

 

こういうケースの場合、看護師さんと協力します。

 

看護師さんに「全身の皮膚の状態を確認したいので、脱衣所まで来て下さい」と声をかけてもらいます。利用者さんが服を脱いでいる間、介護職員は浴室ですぐに洗身できるように待機しています。

 

皮膚の状態の確認が終わった後、浴室に誘導してもらい、介護職員がすぐに「良い湯加減のお風呂ですよ〜」と笑顔で声をかけます。長い間、入浴をしていなかった利用者さんは温かいお湯を身体にかけてあげると、第一声は「気持ち良いな〜」と喜んでくれます。

 

アライ レオ
この経験談はあくまで一例ですので、参考にして頂けたらと思います。より良い対応方法が見つかるヒントになれば幸いです。

 

参考文献

この文献は問題行動の「良い対応」と「良くない対応」が具体的に書かれていて、イラスト入りでわかりやすいです。
認知症のタイプ分けもぴったり当てはまり、本人の気持ちや行動の理解に役立つと思います。


新しい認知症ケア(介護編) 完全図解 (介護ライブラリー) [ 三好春樹 ]

 




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