「徘徊」は認知症の人にとって目的と理由がある

徘徊は認知症の人にとって目的と理由がある

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社会福祉士、介護支援専門員。認知症対応型通所介護で生活相談員をしており、副業で初任者研修講師をしています。福祉業界に携わり14年になります。地域の人々に正しく認知症を理解してもらう為、地域包括支援センター、高齢者見守りセンターのスタッフと協力して認知症サポーター養成講座の講師の活動も行っています。

見当識障害や記憶障害などの中核症状出現の影響や、ストレスや不安などが重なって、絶えず歩き回る「徘徊」が起こることがあります。徘徊という言葉を辞書で引くと「目的もなくうろつき回ること」と書いてあります。しかし、認知症の方が行う徘徊の多くは、はっきりとした「目的」があります。

 

確かに一部の徘徊には特に目的らしいものが見当たりませんが、それはそれで人間的な行為だといえます。

 

出て行く認知症の方は、ここが自分のいるべき場所ではないと感じているのです。それを教える非言語的な訴えが徘徊ですので、介護者はそのたびにケアを見直さなければなりません。

 

徘徊にも色々なタイプがある

 

目的があって出て行く

ここが自分のいるべき場所ではないと思い、本来いるべき場所へ帰ろうとする。普段は伝え歩きがやっとの人も早く歩く。

 

目的もなく出て行く

特にどこへ行こうという目的もなく、黙って施設を出て行く。ついていく介護者が行き先を尋ねると、いろいろな事を言う。

 

徘徊のタイプ別対処方法

 

確信を持って出て行く

例えば「子どもが腹を空かして待っている」と言いながら、自分が一番輝いていた頃の自分に帰ろうとする。本人の切迫した気持ちを受け入れ、共感を示すと落ち着いてくれる。

不安そうにうろうろする

 

身の置きどころがなく、あちこち歩き回る困惑型の徘徊。生活の中に原因がある可能性を考える

 

実はぶらぶら散歩をしている

 

表情に余裕があり、とくに困った様子がなければ徘徊と呼ぶべきではない。介護者は黙って見守るか、一緒に散歩すれば良い。

 

釧路市にあるグループホーム 「さんぽみち」では前回お話した「ユマニチュード」をを実践しています。

 

徘徊をする利用者さん対して、外に出ても止めようとはせず、後ろから数メートル離れた位置からついて行くだけです。そして50mほど歩いた頃、職員さんに「風邪ひくよ」と声をかけてくれました。

「ほんと ありがたいけどさ」「帰ろう。一回連れて帰るわ」と職員さんと腕を組みグループホームに帰っていきました。

 

さんぽみちの職員さんは「行動を抑止させることはストレスになる。リスクがないようにこちらで配慮しつつ、気持ちに寄り添えていけたら」と話されていました。

 

「徘徊」は原因を考えて対応する

 

徘徊の事例を例に原因を探ってみますが、原因を考えれば対応策も出てきます。

 

①図書館で数時間過ごすのが日課のAさん。ある冬の日、いつもより2時間遅く出かけたため、暗くなった帰り路、道に迷い夜遅く疲れ果てた姿で自宅に戻ってきた。

対応策
場所の見当識障害が原因です。昼間、風景が見えれば大丈夫なので、明るいうちに帰れるように工夫すれば一人で活動できます。

 

②Bさんは、日曜日の朝、通っている教会に行こうと自宅を出たが、迷子になり、昼過ぎ、とぼとぼ家に戻った。

対応策
見当識障害が進んでいますので、送り迎えをするようにしましょう。

 

③Cさんは、夕方になると、遠くの郷里に帰ると言ってたびたび家に出て行こうとするが、ある日、介護者が目を離した隙に出て行き、行方不明になり、翌日、思いがけない場所で保護された。

対応策
Cさんの症状は、脳の活性が徐々に下がってくる夕方に、場所や時間の見当識障害が深まることがあります。昼寝などで夕方の意識をはっきりさせ、場合によっては薬を使います。

 

④Dさんは、妻と買い物の途中、行方不明になった。2日後に遠くに離れた町で保護された。

対応策
常に誰かの見守りが必要になります。介護の支援を考えましょう。

 

⑤Eさんは、家の中でも外でも、じっとしていないで歩き続けている。人や物を押しのけ、突き飛ばしてとにかく歩く。

対応策
常に誰かの見守りが必要で、介護の支援が必要です。薬物療法が有効な場合もあります。

 

認知症の人と町で出会ったら

 

もし認知症の人を町で出会ったら、どんな言葉をかければ良いのかわからない人も多いと思います。

 

まずは「こんにちは」「いいお天気ですね」など、自然体で会話をしながら、安心してもらうことが大切です。

 

そして、笑顔「何かお困りなことありませんか?」と声をかけると良いと思います。

 

また「急に近づく」「大声をだす」「後ろから声をかける」と驚いてしまうので注意が必要です。

 

認知症の人の特徴

出会った人が認知症なのか?認知症ではないのか?迷ったら、以下のようなことを目安にすると良いと思います。

 

・認知症の人は挨拶の段階から怒り出すことが多い。

・手ぶらで出かけていて、どこに行くか尋ねると「遠くに行く」と応える。

・「遠くから来ている」と応える

・身なりに違和感がある(季節はずれの洋服、スリッパを履いている。など)

 

その人が認知症だった場合には交番、地域包括支援センター、SOSネットワークなどに連絡するようにして下さい。

 

 

大牟田市では年に一回、地域全体で「見守り声かけ模擬訓練」を行っています。その様子がこの動画で観ることができます。訓練では大牟田市にある「SOS」ネットワークを使い、行政や警察と連携し、実際に捜索が始まります。

 

大牟田市では「徘徊」という言葉を使わないで「安心して、見守り、外出、声かけ」が当たり前の街づくりを行っています。

 

アライ レオ
徘徊をする認知症の人に対して、何が原因で歩いているのかをしっかり見つけ出し、適切な対応を心がけましょう。

 

参考文献

この文献は問題行動の「良い対応」と「良くない対応」が具体的に書かれていて、イラスト入りでわかりやすいです。
認知症のタイプ分けもぴったり当てはまり、本人の気持ちや行動の理解に役立つと思います。


新しい認知症ケア(介護編) 完全図解 (介護ライブラリー) [ 三好春樹 ]

 

もっと詳しくユマニチュード知りたい方はこちらの文献を参考にして下さい。

イラストがカラーで可愛らしい絵で描かれており、とても分かりやすいです。

 

これを読めばユマニチュードを実践できるというわけではありませんが、その概要は実によく理解できます。簡潔にまとめられており、目次を見るだけでもその全体像をつかむことができると思います。


ユマニチュード入門

もっと本格的に学びたい場合には、Humanitude Japon (ユマニチュード研修案内)で、講習会が開催されているので、そちらに参加してみるのも良いのではないかと思います。

 

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