魔法?奇跡?認知症の介護技術「ユマニチュード」とは?

ユマニチュード

ABOUTこの記事をかいた人

社会福祉士、介護支援専門員。認知症対応型通所介護で生活相談員をしており、副業で初任者研修講師をしています。福祉業界に携わり14年になります。地域の人々に正しく認知症を理解してもらう為、地域包括支援センター、高齢者見守りセンターのスタッフと協力して認知症サポーター養成講座の講師の活動も行っています。
ユマニチュード

ユマニチュードとは

「ユマニチュード」という言葉を初めて聞く人も多いと思います。フランス生まれの新しい認知症ケアの手法で、今ではドイツやカナダでも導入され、世界中に広まっています。

 

「ユマニチュード」とはフランス語で「人間らしさへの回帰」を意味し、イヴ・ジネスト氏とロゼット・マレスコッティ氏によって作り出された認知症ケアの技法です。

 

このユマニチュードの狙いは認知症高齢者のコミュニケーションの改善です。

 

この手法でケアすると、治療やケアに拒否的、暴力的だった認知症の方が穏やかにケアを受けるようになったという変化が多くみられています。ユマニチュードの技術があれば、本人の望まない強制的なケアをなくすことができるのです。

 

「見る」「話す」「触れる」「立つ」が基本の4つ要素

ユマニチュード見る

ユマニチュードの基本はシンプルで、「見る」「話す」「触れる」「立つ」4つ要素から成り立ち、具体的な150手法で構成されています。

 

「見る」

車いすに座っている、ベッドで寝ている時、脇から見下ろすと「支配されている」という感情を患者に引き起こしてしまいます。

 

認知症の方は視野が狭くなっています。そこで、視野の中心で捉えてもらえるよう、正面から患者に近づき見つめます。本人の視界に入って存在を認識してもらうことが大切です。

 

同じ目 線の高さ、20cm ほどの近距離で、視線を送り続け「私はあなたの味方です」と伝える。視線を合わせて「見る」という行為はユマニチュードでも特に大事とされています。

 

この「見る」という行為は介護の初心者の方も意識をすれば、すぐに実践できると思います。

「話す」

最初に一言話しただけで、もくもくとケアをすると、自分の存在が否定されていると感じさせてしまいます。

 

相手が心地よく感じる言葉を穏やかな声で話し続けます。実況中継のように話しかけながら行うと、物事を忘れやすくなっている人でも、安心してケアを受け入れてくれます。

 

具体的には、ケアをする時「今からお口の中を綺麗にしますね」 「お口を開きます、さっぱりしますよー」「綺麗になりましたね、気持ちいいですね」と、ポジティブな言葉を実況するように、ゆっくりと穏やかなトーンで声かけをします。そうすることで単なる“作 業”ではなく、心の通った“ケア”になります。

 

この「話す」という行為はある程度実践を積まないと、難しいと思います。ポジティブな言葉をかけ続ける行為は、言葉でいうと簡単そうですが、実践すると言葉が続かないものです。ポジティブな言葉かけを意識して少しずつ慣れていきましょう。

 

「話す」という行為で大切なことは、反応が返ってこない方に対しても、積極的にポジティブな言葉を話かけることです。

 

「触れる」

体を起こす時、つい手首を掴んでしまいがちです。しかし、掴む行為は相手に恐怖感を与え、自分で動こうとする気持ちを妨げてしまいます。掴むのではなく、本人の動こうとする意思を生かして下から支えることが大切です。

 

ケアをする時、本人の背中や手を優しく 包み込むように手のひらを使って触れることで、安心感を与えます。 この時、忙しく無言で触れてしまうと逆効果で、本人に不信感を与えかねません。

 

やさしく声を掛けながら、そっと触れることが必要です。

 

「立つ」

ユマニチュードでは最低1日 20 分は立つことを目指しています。 立つことで、筋力の維持向上や、骨粗鬆症の防止など、身体機能を保つ効果がある

 

筋力を衰えさせるだけではなく、立つことで他の人たちと同じ空間にいることを認識させる。それが人間の尊厳を保つことにつながるのです。

 

この「立つ」という行為には、正確な技術が必要になります。立位補助を行なうにあたっては、介護をする人はその基本「自分の位置」「相手の位置」「相手の足の場所」「重心の確認」「どこを支えるか」「体を傾ける角度」など、さまざまな細かい技術があり、そのどれが欠けても安全な立位介助、歩行介助はできません。

 

介護は「安全であること」が絶対条件です。安全に介助ができないと判断したら、無理をしないで、専門家のアドバイスを受けるようにしてください。

 

 

この動画は「ユマニチュード」の「見る」「話す」「触れる」「立つ」4つの基本要素をイヴ・ジネストさんが実践しています。

私はこの動画を見てユマニチュードを知り、衝撃を受けました。動画時間が長いので、時間がある時にゆっくり見て頂けたらと思います。

 

 

この動画ではユマニチュードの基本の以下の2つが説明されています。

 

「認知症の方は情報の入り口が狭いので、届けたい事をきちんと伝える」こと。

筒を使って見ることにより視野を狭くして、認知症の方の視野を再現しています。

 

「ビックリさせない」

ビックリすることで、怒り出してしまったり、どこかに行ってしまうという症状の引き金になってしまう。遠くへまわりこみ、正面からゆっくり近づき、大きな動作で自分の存在を知らせること。

 

こちらの動画は約5分間なので、さっと見ることができます。

 

ユマニチュード実践する

私も職場でユマニチュードを実践しています。特に大切にしているのは、視線を合わせて「見る」という行為です。プラス、意識して「笑顔」を作ることも同じくらい重要です。

 

私が新人の研修をする時は、「見る」と「笑顔」を意識するように伝えます。利用者さんも笑顔の少ない人には近づかないし、声をかけるのは「笑顔」が多いスタッフです。

 

そういう姿を目撃すると、利用者さんはスタッフの事を「しっかり見てるし、わかってるな」と感じます。

 

具体的なケア方の法は次回以降の記事で書きたいと思います。

 

アライ レオ
認知症の人が相手でも「あなたは人間」で「そこに存在している」と伝えるのが、ユマニチュードの哲学です。この方法で認知症の高齢者だけでなく、家族やケアに関わるすべての人たちが穏やかに過ごせるようになるのです。

 

参考文献

もっと詳しくユマニチュード知りたい方はこちらの文献を参考にして下さい。

イラストがカラーで可愛らしい絵で描かれており、とても分かりやすいです。

 

これを読めばユマニチュードを実践できるというわけではありませんが、その概要は実によく理解できます。簡潔にまとめられており、目次を見るだけでもその全体像をつかむことができると思います。


ユマニチュード入門

もっと本格的に学びたい場合には、Humanitude Japon (ユマニチュード研修案内)で、講習会が開催されているので、そちらに参加してみるのも良いのではないかと思います。

 

フォロワーさんお薦めの本

朝日新聞の書評欄に載った作品です。主人公80歳のベテラン作家「幸田まり子」さんをとりまく、超高齢化社会の問題を面白く、切実に描かれています。家族問題や孤独死といったテーマもありますが、凛として前向きに生きていくまり子さんの姿を見て感動し、元気をもらうことができると思います。

 

まり子さんの生き方は、いずれ来る自分の未来に重ねて見てしまうので、続きを買わずにはいられなくなります(笑)

 

 


傘寿まり子

 

ユマニチュード



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