「もの忘れ」に対する良い対応と悪い対応

もの忘れに対する良い対応と悪い対応

ABOUTこの記事をかいた人

社会福祉士、介護支援専門員。認知症対応型通所介護で生活相談員をしており、副業で初任者研修講師をしています。福祉業界に携わり14年になります。地域の人々に正しく認知症を理解してもらう為、地域包括支援センター、高齢者見守りセンターのスタッフと協力して認知症サポーター養成講座の講師の活動も行っています。

お年寄りのもの忘れの特徴は、最近のことを覚えていられないということです。はるか昔のことは結構詳しく覚えているのに、たった今起こったばかりの出来事を覚えていられません。

 

記憶は「記名」「保持」「再生」というメカニズムで構成されています。年をとると、入り口にあたる記名力が突出して衰えるのです。

 

若くて記憶力の良い頃は、新しいことをどんどん「記銘」できます。しかし、年老いて記銘されなかった出来事は、「保持」も「再生」もできないのですから、最近のことほど忘れやすいのは自然なことなのです。

 

「もの忘れ」よりそれへの対応が問題

「もの忘れをする本人が周囲に助けを求められる環境がある」「介護者が気がついて上手く助けられる」ことがポイントです。年をとって「もの忘れ」が始まったら、周囲に助けを求められる環境を作ることが重要になります。

 

「もの忘れ」に対する良い対応と悪い対応

良い対応

・何を記憶しているのかを見極める

「しっかりしている記憶」と「危うい記憶」を見極めて、前者は回想や手作業の再現で活性化し、後者はさりげなく援助する。

 

・危うい部分をフォロー

教えるとか覚えさせるといった態度ではなく、さりげない共感的な言葉で記憶を補うと傷つかなくてすむ。

 

悪い対応

・覚えられないことを教え込もうとする

危うい記憶を明らかにして教えてやろうとする態度は責めることになり、認知症を追い込むこともある。

 

・対抗的な暴力を引き出してしまう

相手がアルツハイマー病の方であれば、無理に教え込もうとする態度は暴力を引き出してしまうこともある。

 

具体例

デイサービスに勤務中、利用者さんと一緒にアルバムを見る機会があります。この時の会話を再現すると、

 

利用者さん
これは亡くなったご主人。えっと、これは・・・

 

アライ レオ
かわいいお孫さんですね。

 

利用者さん
(心の中)孫だったのね・・・・

 

このように、さりげなくフォローすると、傷つけることはありません。

 

 

こちらの動画でも、具体的対応が観れます。

時間がわからなくなった主人のために、朝になると朝日と富士山の写真が載っているカレンダーに「朝」「おはよう」と書いて壁に飾っています。日中は明るい花畑の写真のカレンダーに「昼」と書かれたもの、夜間は日没の林の写真のカレンダーに「夕方→夜」と書かれたものを飾って、時間がわかるように工夫しています。

 

妻がいなくなると不安になる主人のために「買い物に行ってきます」「ゴミを出しに行ってきます」など、大きく書いたメモ用紙をテーブルに置いていくようにしています。

 

火の始末ができなくなった時の対応

 

本人の気持ち
火なんかつけたっけ?

私じゃないよ!

 

認知症の方が火を消し忘れたり、水道を出しっ放しにしたり、電気をつけっぱなしにするというのはよくある話です。どれも認知症による記憶障害が原因で、そもそも火をつけたことを覚えていないので、消すこともできません。

 

電気や水の場合は気がついた人が消したり、止めたりすることもできますが、火の場合は危険なので対処が必要です。

 

記憶障害は指摘や注意で治る問題ではないので、台所仕事自体を禁止してしまう家庭もありますが、本人の役割を奪うことになり、かえって認知症が進んでしまう可能性があります。

 

禁止ではなく周りが対策を考える

 

火の始末に関しては、一切火を取り扱わないようにするのではなく、危険が少なくなるように対策を立てることが重要です。たとえば、料理などは、介護者が一緒に作るようにして、切る作業や味付け、食器洗いなどを中心にしてもらうようにしましょう。

 

お風呂の空焚きや暖房器具の扱いが心配な場合は、使用後にガスの元栓をしめたり、パネルヒーターなどの安全な暖房器具に交換するようにしましょう。

 

 

近所からも苦情が出やすいのが、火事に直結するタバコです。タバコには依存性があるので、禁止してもすぐに買ってきてしまいます。隠れて吸ったり、寝タバコをするとより危険にになるので、目の届く範囲で吸ってもらうことにしましょう。

 

経験談

私がケアマネージャーとして働いていた頃、認知症がある老夫婦を受け持つことがありました。2人暮らしで周りに親族がいないので、介護サービスを使い、他職種で連携をとりながら支援していました。

 

年末に近づいた頃、ヘルパーさんからの報告で「やかんが丸焦げになってました」と報告がありました。慌ててご自宅に訪問すると、丸焦げになったやかんがガスコンロの上にのってました。やかんの焦げ具合からみると、かなりの時間、火をつけたままだった思います。

 

急遽、IH式コンロを購入しようとしましたが、食事は宅配弁当とデイサービスの利用時に済ませていて、コンロを使うのはお茶を飲むときにお湯を沸かす時しか使わないとのことだったので、電気ポットを購入しました。利用者さんも「こっちのほうが安心だね」と納得してくれました。

 

アライ レオ
物忘れに対しては、間違いを指摘したり、非難することをせず、その時々の認識にあわせることが大切です。

 

 

参考文献

この文献は問題行動の「良い対応」と「良くない対応」が具体的に書かれていて、イラスト入りでわかりやすいです。
認知症のタイプ分けもぴったり当てはまり、本人の気持ちや行動の理解に役立つと思います。


新しい認知症ケア(介護編) 完全図解 (介護ライブラリー) [ 三好春樹 ]

 

もの忘れに対する良い対応と悪い対応



無料E-book
ゼロからわかるもの盗られ妄想の具体的対応

認知症の人と一緒に暮らしているご家族の方
介護施設で働いている介護職員の皆さん

「もの盗られ妄想」の対応に悩んでいませんか?

このE-bookでは「もの盗られ妄想」の具体的対応を私の経験した事例をもとに体系的にわかりやすく、楽しく学べるように工夫しております。

無料配布しているので興味のある方は下のボタンを押して下さい




コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です