認知症の非薬物療法(回想法、音楽療法)

認知症の非薬物療法

ABOUTこの記事をかいた人

社会福祉士、介護支援専門員。認知症対応型通所介護で生活相談員をしており、副業で初任者研修講師をしています。福祉業界に携わり14年になります。地域の人々に正しく認知症を理解してもらう為、地域包括支援センター、高齢者見守りセンターのスタッフと協力して認知症サポーター養成講座の講師の活動も行っています。

非薬物的療法とは、薬物を用いない治療的なアプローチのことで、リハビリテーションや心理療法などがあります。認知症の方と家族の方を支援する関わりや環境を整えることも大切な治療要素です。

 

運動や作業・活動を介することで、認知症の方が持っている能力を引き出し、機能を最大限に活かした治療が行なえます。昔好きだったこと、興味のあること、得意だったことは楽しく取り組めるので継続して行えます。

 

継続することによって持続性も向上し、昼間の覚醒時間も確保できます。活動を遂行することで本人の自信や肯定的な感情が得られるので、不穏や問題行動も落ち着き、家族の方も穏やかな気持ちで過ごせます。

 

回想法

過去の楽しい思い出を回想し、相手に共感してもらうことで心を安定させ、認知症の症状を穏やかにすることができる療法です。

 

認知症の人は昨日の出来事を忘れても、昔の良い思い出は覚えているものです。回想法は懐かしい記憶を掘り出すことで脳を活性化させ、認知症の進行を遅らせる効果が期待されています。大切なことは以前に聞いたことがあったり記憶に間違いがあったりしても、聞き手は話をさえぎらないことです。

 

話をさえぎってしまうと認知症の方は混乱してしまうので、話の内容はすべて受け入れる必要があります。

 

回想法には1対1で行う個人回想法と、1人の専門家と6〜8人の参加者で行うグループ回想法があります。

個人回想法は自宅でもアルバムを見ながら介護者が行うことができます。グループ回想法は施設などでお年寄り同士のコミュニケーションを図るのに最適です。

 

回想法で期待できる効果

表情が豊かになる

日頃無表情な人でも、回想法によって懐かしさや、わかりあえる嬉しさと感じると、表情が豊かになっていく。

 

行動・心理症状が減る

回想法によって共感的な態度で受け入れてもらう経験を重ねると、お年寄りの情緒が安定し、行動も安定する。

 

介護者の意識が変化する

回想法で思い出を聞くと、介護者のお年寄りに対する理解が深まり、関係が良好になることで介護負担が減る。

 

認知症の進行を遅らせる

昔を思い出して語り合うと日常会話に比べて脳全体の血液量が増えて、認知症の進行を遅らせる効果がある。

 

事例動画

 

 

この動画で回想法をどのように実践しているか見ることができます。

 

回想法は毎週1回程度、継続することが大事で、3ヶ月程度継続すると認知機能の改善がはかられます。

 

仲のいい人と30分会話する。回想法が認知症予防のひとつの手段として可能性がある。おしゃべりするとか体を動かすことは、その方を元気にし、明るくさせる。ご自身の持っている不安とか困った行動が改善されます。

 

経験談

私もデイサービスで回想法を実践しています。回想法は写真や映像を見せても、昔の記憶が思い出せない重度の記憶障害の人は実践をすることが難しいです。写真や道具、映像みせて、自分から思い出話をしてくれる方は回想法は有効です。

 

職業体験で近所の小学生、中学生がデイサービスに来た時に回想法を実践し、お手玉やけん玉で遊んだり、昔の洗濯機や冷蔵庫などの家電製品、戦争時の写真や映像を見せて、昔の思い出話を学生達に聞かせてあげてもらうようにお願いします。

 

学生達も利用者さんの昔話を聞くと、「学校で教えてもらえないことを聞けて、勉強になった」と利用者さんにお礼をしてくれます。

 

私はおじいちゃん、おばあちゃんと一緒に住んでいたので、昔の遊びや昔話をたくさん聞くことができました。今の学生達にも、自分が子供の時にした経験をさせてあげたい思いから、回想法を実践しています。

 

音楽療法

音楽療法は、音を聞いたり、歌ったり、楽器を演奏したりという音楽行動を通して、行動・心理症状を減らすことができる療法です。

 

効果としては、音楽を楽しむことにより気分が良くなって食欲が増したり、心が落ちついて意識レベルが上がるなど、認知症の行動・心理症状が減少すると言われています。特に以前からカラオケが好きだった人や、楽器を演奏していた経験がある人など、音楽に親しんだ人に対して効果が高い療法です。

 

音楽療法は大きく分けて2種類あります。音楽を聞くことが中心の受動的音楽療法と、実際に歌ったり演奏したりする能動的音楽療法です。

 

受動的音楽療法は、日頃からクラシックや懐かしい歌謡曲などを流すことでリラックスを促し、心地よい空間を作り上げます。

 

能動的音楽療法は参加者を集めて一緒に歌い、リズムをとったり、音楽に合わせて簡単な運動をすることで、リラックス効果と同時に体力増強や運動能力の改善なども見込める療法です。

 

どちらの音楽療法でも、演歌やフォークソングなど昔流行った歌を取り入れれば、回想法と同様の効果も期待できます。家庭では一緒に思い出の歌を歌うのも良いと思います。

 

音楽療法で期待できる効果

行動・心理症状が減る

声を出して歌うと気分が晴れ、脳の血流が活発になることで行動・心理症状が減ると考えられている。

 

食欲が増す

精神的にリラックスして気分が高揚し、見た目より運動量があるので、お腹が空いて食事の量が増えていく。

 

記憶力・注意力の改善

国立長寿医療センターの研究によると、軽度認知症の人を対象に毎週1回、1時間弱の音楽療法を8〜10回行ったところ、記憶力や注意力が改善されたとのことです。

 

認知症の進行を遅らせる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

国立長寿医療センターの研究によると、定期的に長く続ければ、視床や大脳基底部を中心に脳の血流が増え、認知症の進行を遅らせることも期待できるとのことです。

 

事例動画

 

この動画は音楽療法士の取り組みを見ることができます。

 

「音楽教育」は教えること。「レクリエーション」は楽しくてよかったね。「音楽療法」はクライアント自らが持っている力を音楽療法士が引き出す 。と音楽療法士の児玉さんが動画の中で話されています。

 

特別養護老人ホームの入所者さん達は音楽療法中は穏やかな表情になり、楽しそうに歌を歌っています。音楽療法を受けてから、質問や要望を言うなどの変化が現れているとのことです。

 

経験談

デイサービスでは主に能動的音楽療法を取り組んでいます。利用者さんが好きそうな歌をピックアップし歌集を作りました。30分ぐらい歌の時間を設け、好きな曲を選曲してもらい、皆さんで一緒に歌っています。

 

人気の曲の1つ「旅の夜風」を歌うと「愛染かつら」を映画館に観に行った時の話で盛り上がります。利用者さんのほとんどの人が観に行ったことがある映画のようで、利用者さんの色々な思い出話を聞くことができます。

 

お昼前に「365歩のマーチ」「好きになった人」の曲を流し、音楽に合わせて体操を行っています。利用者さんにもできる簡単な振り付けなので、早い人は数回で覚えて、スタッフと一緒に体を動かしています。

 

普通の体操よりも音楽に合わせた体操のほうが、利用者さんも楽しそうに体を動かしています。

 

参考文献

もっと詳しく非薬物療法について勉強したい方はこちらの文献を参考にして下さい。

より詳しい専門書にはない、読みやすさがあります。イラストも多数あり、症例に沿った説明も分かりやすいです。認知症の最初の本としておすすめです。

 


完全図解 新しい認知症ケア 医療編 (介護ライブラリー)

 

アライ レオ
非薬物療法によって、自分の存在感を再認識する機会を与えることは、自発性を引き出すことにつながります。

 

お知らせ

このサイトを立ち上げた時からの目標である、「自主セミナー」を開催します。

【開催概要】

日時 2018年11月5日(月) 9 時30分~12時30分

参加人数 6名

参加費用 3500円

場所 神奈川県横浜市西区南幸2-20-12タイヨウビル510号室

アクセス 横浜駅西口から徒歩5分(西口にあるマルエツの近くです)

 

今回のセミナーは認知症のことについて全くわからない方から経験者の方まで「認知症の方の排泄ケア」について、体系的にわかりやすく学べるように構成しています。6名と少人数のセミナーなので、グループワークなどでコミュニケーションをとりながら、アットホームな雰囲気で講義を進めていきたいと思っています。

 

興味がある方はこちらのボタンをクリックして頂けたらと思います。よろしくお願い致します。

 

認知症の非薬物療法



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