予防が大事!脳血管性認知症

脳血管性認知症

ABOUTこの記事をかいた人

社会福祉士、介護支援専門員。認知症対応型通所介護で生活相談員をしており、副業で初任者研修講師をしています。福祉業界に携わり14年になります。地域の人々に正しく認知症を理解してもらう為、地域包括支援センター、高齢者見守りセンターのスタッフと協力して認知症サポーター養成講座の講師の活動も行っています。

脳血管性認知症とは

脳卒中(脳梗塞、脳出血)、くも膜下出血などにより、脳血管が詰まって酸素や栄養が届かなくなることで発症します。麻痺、運動障害、言葉がうまく話せない、意欲の低下などの症状が見られます。

 

1980年代までの日本は、脳血管性認知症の多い国でした。その後、高血圧の制限や生活習慣の見直しが功を奏し、脳血管障害だけで重い認知症になる人は少なくなっています。

 

脳血管障害が左大脳半球で発生した場合に起こりやすい症状は、右半身マヒ、失語症、知能低下などです。右大脳半球では左半身マヒや性格変化を起こしやすくなりますが、知能低下はあまり起こりません。

 

小さな梗塞が多発した多発性脳梗塞は目に見える後遺症がなく、ときには発症したことさえ気づかない程度の軽い病気ですが、10年以上経過すると、高い確率で脳血管性認知症を引き起こします。

 

脳血管性認知症の症状

中核症状は軽く比較的病識もある

アルツハイマー型認知症は健康な女性に多い病気ですが、脳血管性認知症は、動脈硬化が進んだ男性に多い傾向があります。ハイリスク群は高血圧、糖尿病、高コレステロール血症などの持病があり、これらのコントロールができていない人です。

 

①運動機能にさまざまな障害がでます。

尿失禁、足を引きずる、握力がなくなりすぐ箸や湯呑みを落とす、しゃべるとろれつが回らないといった症状です。

 

②不安や怒りが強く、うつ状態に陥ります。

夜になると徘徊やせん妄(意識障害を起こして取り乱すこと)が出て、悪化すると昼夜逆転を起こします。

 

③感情失禁

これは、前頭葉の血流が阻害されて感情の制御ができなくなり、泣きじょうごなどになる症状です。

 

④まだら認知症

まだら認知症とは症状にばらつきがある認知症のことです。例えば、激しい物忘れがあるが、判断力や理解力だけは低下が見られなかったり、ぼーっとして何もできない日もあれば、受け答えもはっきりして覚醒している日もあります。

 

脳血管性認知症の進行経過

 

河野和彦『新しい認知症ケア 医療編』をもとに作成

 

階段状に進行するのが特徴

アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症は潜伏期間が長く、いつとはなしに発症して徐々に進行しますが、脳血管性認知症は突然発症し、状態のダウンがはっきりとわかる段階的な進行を示します。

 

典型的なケースですが、最初に脳卒中の発作を起こして認知症が始まり、その後、脳卒中が再発するたびに悪化していきます。

 

上の図は典型的な脳血管性認知症の進行経過を示しました。全員がこのように進行するわけではありません。参考にして頂けたらと思います。

 

脳血管性認知症とアルツハイマー型認知症の比較

脳血管認知症とアルツハイマー型認知症の違いがわかりずらいと思いますので、表にまとめてみました。

 

脳血管性認知症
  • 発症年齢・性差・・・60〜70歳 男性>女性
  • 初期症状(前兆)・・・頭重、めまい、耳鳴り、四肢のしびれ感、もの忘れ
  • 神経症状・・・片マヒ、パーキンソン症状、歩行失調
  • 認知症の性質・・・まだら認知症
  • 経過・・・階段状に進行
  • 合併身体疾患・・・原則としてみられない
  • 特徴症状・・・感情失禁、うつ病、せん妄
  • 画像所見・・・多発性脳梗塞

 

アルツハイマー型認知症
  • 発症年齢・性差・・・70歳 男性<女性
  • 初期症状(前兆)・・・もの忘れ
  • 神経症状・・・初期には出現しない
  • 認知症の性質・・・全般的な認知症
  • 経過・・・ゆるやかに進行
  • 合併身体疾患・・・高血圧、糖尿病、脂質異常症、心疾患
  • 特徴症状・・・内容のない多弁、とりつくろい現象
  • 画像所見・・・全体的な脳の萎縮

河野和彦『新しい認知症ケア 医療編』をもとに作成

 

脳血管性認知症は脳の障害された部位によっては失語症、意欲の低下、嚥下障害(言おうとすることをうまく発音できない)などが出ます。また、初期の脳血管性認知症は、記憶障害が軽いことも特徴の一つです。

 

初期の対応次第で進行を止められる。

脳血管障害は、高血圧や動脈硬化に伴う前兆があります。頭痛、めまい、手のしびれ、言葉が出なくなるといった一過性の症状です。この時、すぐに検査を受けて脳出血や脳梗塞を予防すれば脳血管障害を起こすこともなく、脳血管性認知症になることもありません。主な予防法を見てみましょう。

 

生活習慣病の改善

動脈硬化や高血圧を手始めに、脂質異常症、一過性脳虚血発作、心臓の病気、糖尿病、肥満などにならないよう、医師や栄養士の指導を受けながら生活習慣を見直す

 

運動不足の解消

日頃から適度な運動を行うことは、脳血管障害を予防するうえでも、治療やリハビリの効果を上げるうえでも大切である。運動は精神を活発に保つのにも役立つ

 

禁煙

喫煙は、脳血管性障害の大きな危険因子である。自力でやるのが困難な時は、禁煙外来でカウンセリングやニコチン補充療法を受けると脱却の手助けになる。

 

節酒

酒を飲みすぎると心拍数が上がって心臓に負担がかかり、血圧が上昇する。習慣的な飲酒は高血圧や動脈硬化の原因となり、ひいては脳卒中の引き金になる。

 

この動画は認知症の“予防”に役立つ具体的な方法や検証を紹介しています。『歩く速さと認知症の関係性』の部分は知らなかったことなので、勉強になりました。難しい内容ではないので、時間がある時に見て頂けたらと思います。

 

脳血管性認知症のケアとリハビリ

脳血管障害の後遺症でマヒや運動障害があると、生活空間が狭くなってしまいます。介護者はそうならないように心がけながらケアやリハビリを行わなければなりません。その歳気をつけることは、リハビリを強要するのではなく、以下のような気配りをすることです。

 

①廃用症候群を防ぐ

自発性を失って身体活動が低下した毎日を過ごすことは、認知症の低下に直結します。心身の廃用を防ぎ、趣味や日課に積極的に取り組む生活をつくる必要があります。

 

②まだら認知症を理解する

脳血管障害の患者は、できることとできないことが入り交じって変化する。手順やヒントを示せばできることもあるので、介護者は観察し見極める力が求められます。

 

③その人らしさとして受け止める

脳血管後遺症は後遺症で性格変化を起こすことがあり、感情失禁、怒りっぽさ、夜間の徘徊やせん妄もでる。介護者はこうした症状をやさしく受け止めなければならない。

 

④気分変動のパターンをつかむ

特に理由もなく、1日から数日の間隔で気分が変動することがある。覚醒レベルも低下や興奮が周期的に変動する。介護者はこの変動パターンを探って把握することが重要です。

 

参考文献

もっと詳しく脳血管性認知症を知りたい方はこちらの文献を参考にして下さい。

より詳しい専門書にはない、読みやすさがあります。イラストも多数あり、症例に沿った説明も分かりやすいです。認知症の最初の本としておすすめです。

 


完全図解 新しい認知症ケア 医療編 (介護ライブラリー)

 

アライ レオ
脳血管性認知症は発病したとしても、次の脳出血や脳梗塞を起こさなければ、進行が止まる認知症です。脳卒中を繰り返せば階段状に重度化しますが、次を起こさなければ認知症が改善することもあります。

 

フォロワーさんお薦めの本

朝日新聞の書評欄に載った作品です。主人公80歳のベテラン作家「幸田まり子」さんをとりまく、超高齢化社会の問題を面白く、切実に描かれています。家族問題や孤独死といったテーマもありますが、凛として前向きに生きていくまり子さんの姿を見て感動し、元気をもらうことができると思います。

 

まり子さんの生き方は、いずれ来る自分の未来に重ねて見てしまうので、続きを買わずにはいられなくなります(笑)

 

 


傘寿まり子

 

脳血管性認知症



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