認知症の人の気持ちを理解する

認知症の気持ちを理解する

ABOUTこの記事をかいた人

社会福祉士、介護支援専門員。認知症対応型通所介護で生活相談員をしており、副業で初任者研修講師をしています。福祉業界に携わり14年になります。地域の人々に正しく認知症を理解してもらう為、地域包括支援センター、高齢者見守りセンターのスタッフと協力して認知症サポーター養成講座の講師の活動も行っています。

認知症の人と接するときの心構え

認知症になると「何もわからなくなる」「何も理解できなくなる」と考えている人も多いと思います。

介護従事者でさえ、「認知症だからすぐ忘れてしまう。何もわかっていないんだよ!」という言葉を聞いたことがあります。認知症になると本当に「何もかもわからなくなってしまうのでしょうか?」

 

私はこれまで数百人の認知症の利用者さんと関わって気づいた事があります。

 

それは「認知症になると感情が非常に敏感になる」ということです。

 

嫌な思いをした感情は忘れる事はありません。

 

実際に私の一緒に働いているスタッフも軽率な対応や言葉使いして、何年も「悪い人」と言われ続けたケースがありました。

 

認知症の人ほど、色々なことを考えて対応しなければならないのです。

 

認知症の症状に最初に気づくのは本人です。

もの忘れによる失敗、家事や仕事がうまくいかなくなるといったことが多くなり、何となくおかしいと感じ始めます。

認知症特有の「言われても思い出せないもの忘れ」が重なると、本人が何かが起こっていると不安を感じ始めます。

 

「認知症の本人に自覚がない」は大きな間違いなのです!

 

認知症の人は何もわからないのではありません

認知症の女性の日記から。「あね」とは娘のことです。自分がどうなっているのか、どうなっていくのか、わからない苛立ちや不安な気持ちがつづられています。

認知症サポーター養成講座標準教材から抜粋

 

「私は忘れていない!」に隠された悲しみ

認知症になった時、多くの人が「私は忘れてなんかいない」「病院に行く必要はない」と言い張り、家族を困らせます。

 

私の祖父は90歳まで認知症の症状は見られなかったのですが、ある時、お腹の調子を崩し、夜中もトイレに頻回に行くようになり、睡眠不足から体調を崩してしまいました。その頃から、もの忘れが多くなり「何かがおかしい!」と私に漏らしていました。

 

今、思うとそれが認知症のきっかけだったのかもしれません。

 

私の両親が受診を勧めても、祖父は「まだ呆けていない!」と受診させてくれませんでした。やり場のない怒りや悲しみや不安から自分の心を守るための自衛反応だったのでしょう。

 

私の両親も祖父の頑固さに嫌気がさし、祖父の気持ちを理解してあげようとは思いませんでした。当時は私もまだ若くこの仕事に就く前だったので、認知症の知識がなく祖父の気持ちを理解してあげることができませんでした。家族で祖父の気持ちを理解し、寄り添うことができれば、受診させることができたかもしれません。

 

周囲の人が「認知症という病気になった人」の本当の心を理解することは容易ではありませんが、認知症の人に隠された悲しみの表現であることを知っておくことは大切です。

 

認知症の人の気持ちを理解する

この動画に出てくる藤田和子さんは日本で初めて認知症当事者の会「日本認知症ワーキンググループ」を立ち上げました。

 

藤田さんは45歳で初期のアルツハイマー型認知症と診断されました。藤田さんは認知症になったら「何もできなくなる」と思っていましたが、実際には家族の手助けを受けながら買い物に出かけ、料理も自分でしています。ただ、常に意識を張り詰めているので、疲れやすいのも事実です。

 

藤田さんは動画の中で、認知症に対しての偏見があり、「もうこの人に何も言ってもわからないのではないか、友達や近所の方も自分のことを理解されていないのではないか、という目で私を見ている」と感じることもある。

 

周りの人に理解してもらいたいことは「認知症という言葉にごまかされないで、目の前にいる本人に関わり続けてほしい」そこで理解を深めてほしい。という思いが語られていました。

 

認知症になってしまったから、「何もわからなくなってしまう」わけではありません。周りの手助けがあれば、できることはたくさんあります。認知症の人を支援する姿勢が重要になるのです。

 

認知症の人だからといってつきあいを基本的には変える必要はありませんが、認知症の人には、認知症への正しい理解に基づく対応が必要になります。

 

ふだんから住民同士が挨拶や声かけにつとめることも大切です。日常的にさりげない言葉がけを心がけることは、いざというときの的確な対応に役立つでしょう。

 

具体的な対応の7つのポイント

●まずは見守る

認知症と思われる人に気がついたら、本人やほかの人に気づかれないように、一定の距離を保ち、さりげなく様子を見守ります。近づきすぎたり、ジロジロ見たりするのも禁物です。

 

●余裕を持って対応する

こちらが困惑や焦りを感じていると、相手にも伝わって動揺させてしまいます。自然な笑顔で対応しましょう。

 

●声をかける時は1人で

複数で取り囲むと恐怖心をあおりやすいので、できるだけ1人で声をかけます。

 

●後ろから声をかけない

一定の距離で相手の視野に入ったところで声をかけます。唐突な声かけは禁物。「何かお困りですか」「お手伝いしましょうか」「どうなさいました?」「こちらでゆっくりどうぞ」など

 

●相手に目線を合わせて優しい口調で

小柄な方の場合は、体を低くして目線を同じ高さにして対応します。

 

●おだやかに、はっきりした話し方で

高齢者は耳が聞こえにくい人が多いので、ゆっくり、はっきりと話すように心がけます。早口、大声、甲高い声でまくしたてないこと。その土地の方言でコミュニケーションをとることも大切です。

 

●相手の言葉に耳を傾けてゆっくり対応する

認知症の人は急がされるのが苦手です。同時に複数の問いに答えることも苦手です。相手の反応を伺いながら会話をしましょう。たどたどしい言葉でも、相手の言葉をゆっくり聴き、何をしたいのかを相手の言葉を使って推測、確認していきます。

 

参考文献

このページは認知症サポーター養成講座標準教材を参考にして製作しました。

認知症サポーターとは

認知症に対する正しい知識と理解を持ち、地域で認知症の人やその家族に対してできる範囲で手助けする「認知症サポーター」を全国で養成し、認知症高齢者等にやさしい地域づくりに取り組んでいます。
認知症サポーター養成講座は、地域住民、金融機関やスーパーマーケットの従業員、小、中、高等学校の生徒など様々な方に受講いただいています。

 

認知症サポーター養成講座は、地域や職域団体等で、住民講座、ミニ学習会として開催しています。
受講をご希望の場合には、在住・在勤・在学の自治体事務局へお問い合わせ下さい。

全国の自治体事務局一覧 (全国キャラバン・メイト連絡協議会HPより)

 

アライ レオ
認知症の人への対応の心得 3つの「ない」1.驚かせない 2.急がせない 3.自尊心を傷つけないが基本姿勢となります。

 

フォロワーさんお薦めの本

朝日新聞の書評欄に載った作品です。主人公80歳のベテラン作家「幸田まり子」さんをとりまく、超高齢化社会の問題を面白く、切実に描かれています。家族問題や孤独死といったテーマもありますが、凛として前向きに生きていくまり子さんの姿を見て感動し、元気をもらうことができると思います。

 

まり子さんの生き方は、いずれ来る自分の未来に重ねて見てしまうので、続きを買わずにはいられなくなります(笑)

 

 


傘寿まり子

 

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